フィジカルAIとは
フィジカルAIは、カメラやセンサーで現実の世界を捉え、ロボットや機械の体を通じて物理的に作業するAIです。文章や画像をつくる生成AIが画面の中で働くのに対し、フィジカルAIは工場や街の中で、モノをつかみ、運び、加工します。
英語では Physical AI。体を持って現実に働きかけるAIという意味で、Embodied AI(身体性AI)とほぼ同じものを指します。
認識し、判断し、動く
フィジカルAIは、この3つを繰り返して働きます。動いた結果をまた確かめるので、状況が変わっても動きを合わせられます。
01認識する
カメラ、距離センサー、力覚センサーなどで、モノの位置・形・向き・状態をとらえます。人が目と手で感じ取っていることを、数値として受け取る段階です。
02判断する
とらえた状況から、次にどう動くかを決めます。学習したAIモデルが使われ、画像と言葉と動作をまとめて扱うロボット基盤モデル(VLA)も登場しています。
03動く
ロボットアームやハンド、移動台車などの体で、現実のモノに力を加えます。動いた結果をまたセンサーで確かめ、ずれていれば次の動きを直します。
産業用ロボットとの違い
従来の産業用ロボットは、教えられた動きを正確に繰り返します。フィジカルAIのロボットは、目の前の状況を見て動きを変えられます。
| 比べる点 | 従来の産業用ロボット | フィジカルAIのロボット |
|---|---|---|
| 動きのつくり方 | 人が位置と順番を一つずつ教える(ティーチング) | 人の実演や仮想環境のデータから学ぶ |
| ワークの位置や種類が変わったとき | 教え直しが必要 | カメラで認識して、動きを合わせる |
| 得意な工程 | 同じ品物を大量に流す工程 | 多品種小ロット、個体差のある対象を扱う工程 |
| 別の現場へ広げるとき | 現場ごとに一からつくり直す | 学んだ動きやモデルを持ち込み、現場に合わせて磨く |
産業用AIロボット という領域
自動運転車やヒューマノイドに代表されるフィジカルAIと、決まった動きを正確に繰り返してきた産業用ロボット。ZREKが取り組むのは、その交差点です。
よくある質問
- フィジカルAIと生成AIの違いは何ですか?
- 生成AIは文章・画像・プログラムなど、画面の中の成果物をつくります。フィジカルAIは、その認識や判断の力をロボットの体と結びつけ、現実のモノに働きかけます。画面の中なら間違えてもやり直せますが、現実では動いた結果が残るため、安全と確実さがより強く求められます。
- フィジカルAIにはどんな例がありますか?
- 自動運転車、ヒューマノイド、ドローン、配送・清掃ロボット、そしてAIを組み込んだ産業用ロボットです。製造業では、工作機械へのワーク脱着、個体差のある部品の検査など、変化が多くて従来のティーチングでは割に合わなかった作業に使われはじめています。
- フィジカルAIはどうやって動きを覚えるのですか?
- 主に3つの方法があります。人の実演をまねる模倣学習、仮想環境(シミュレーション)で試行を重ねる方法、現場で集めたデータによる学び直しです。すべての動きを学習でつくる必要はなく、決まった動きは従来の制御で組み、変化のある部分だけをAIに任せる構成もよく使われます。
- ロボット基盤モデル(VLA)とは何ですか?
- 画像(Vision)、言葉(Language)、動作(Action)をひとつのモデルで扱うAIです。カメラの画像と「部品を箱に入れて」のような指示から、ロボットの動きを直接出力します。多くの作業データで事前に学習しておき、少ないデータで新しい作業に合わせられることが期待されています。
- シミュレーションはなぜ使われるのですか?
- 現実のロボットで試行を重ねると、時間がかかり、機械や対象物を傷めるおそれもあるためです。物理法則を再現した仮想環境なら、多くの試行を安全に、短い時間で回せます。仮想で学んだ動きを現実でも通用させること(Sim-to-Real)が、技術上の大きな課題です。
- ZREKはどんな会社ですか?
- 株式会社Zrek(ZREK、ゼレック)は、製造業向けのフィジカルAI・AIロボットを開発する日本のスタートアップです。工作機械まわりの作業から取り組んでいます。2021年設立。東京・渋谷に本社を、神奈川県川崎市に研究拠点 ZREK Labs を置いています。